誣告の伝兵衛。≪小説・新連載vol.33≫

あの野郎は、4種類の図書館を使い分ける。

そのうちの、ある図書館の職員たちは、あの野郎の事が大嫌いだ。

あの野郎が、約1時間おきに休憩をするために、席を立ち、ラウンジやトイレに向かうからだ。

つまり、カウンターにいる職員にとって、否応でも、あの野郎がカウンター前を通ることになるからだ。

あの野郎は、そのことを、数年前からうすうす気づいてはいた。

あの野郎がトイレに入ると、10秒後にかならず女子トイレの方から女子トイレのドアが閉まる音がする。

あの野郎が大便をした後、手洗いをしていると、目の細い白粉の公家みたいなそしてイルカみたいな顔をした、普段悪口言ってますみたいな顔をした、女の職員(48歳)が女子トイレから出てくる。

それが毎回続くのだ。

あの野郎は、監視されていることに対して、この上ないほどの怒りがわいてきた。

そこで、そのイルカ女がトイレから出てくるのを男子トイレで待ち構えることにした。

すると、案の定出てきたところを、あの野郎は男子トイレを出る。

ドアをわざとバタンと閉めて。

すると、イルカ女はびくっとするも、すぐにやり返してやろうと、何も問題ない、壁に貼ってあるポスターの位置を直そうとする。

底意地の悪いメコの考えることだ。

もうひとりの職員もまた、底意地の悪いメコ。

55歳の臨時職員である。

顔は、泳げ!たい焼き君の店のおじさんに瓜二つ。

2年前自習室で勉強しているある利用者がペットボトルを置いていることに対してあの野郎からその利用者に注意するように言われたのだが、人に命令されることに異様に怒りを覚える、生粋のSっ子であるたい焼き君の店のおじさんは、それ以来あの野郎に対して殺意を抱いている。

この店のおじさんが得意とすることは、あの野郎がラウンジの椅子で外を見ながら休憩しているときに、なんと裏口から外へ出てあの野郎が見ている外の景色にフレームインしてくることだ。

何のためかというと、あの野郎が見ている外に、きっと何かがあるに違いないと、下種の勘繰りをしているためだ。

ブスの考えそうなことである。

あの野郎は、せっかく外の景色を観て休んでいるのに、店のおじさんが鬼の形相でフレームインしてくるのだから、腹が立ってしょうがない。

さて、じつはもうひとり、馬鹿がいる。

それは、イルカ女の旦那で、50歳の白髪交じりの短髪色黒のおっさんだ。

イルカ女に、あの野郎がラウンジの円卓テーブルで座りながら観ている外にはいったい何があるのかを、私の代わりに様子をうかがって、とおねだりされ、馬鹿丸出しでOKの返事をして実行したのだ。

計画内容はこうである。

まずイルカと旦那が、2人とも休日である日曜日に、図書館前にある児童会館に車を止める。

車の中には、イルカが待ち構える。

あの野郎が見ている外には、いったい何があるのかを確かめるために。

旦那には、あの野郎が1時間おきに休憩することは伝えてある。

チャンスは1階である。

あの野郎が休憩のためラウンジに来るのを何度も監視することに対して、旦那はさすがに抵抗したからだ。

旦那だって、イルカの奴隷ではない。

旦那は変装させられた。

ひざ上の濃い緑のショーパン。

黒のビーチサンダル。

ピンクとネイビーのスプライト柄のビニールバッグ。

黒のTシャツ。

なんだその恰好は。

さてはお前ホモかい?

黒のTシャツには、白色の英語のプリント。

なんて書いてあるの?

なになに。

I like my wife. my wife is complete Dutch wife.

何言ってやがるこの野郎。

 

誣告の伝兵衛。≪小説・新連載vol.32≫

いやぁ、おらの誣告と、あの野郎の真贋とが、あい混じり合って、なんだかすんげえことになってきやがったなぁ。

あの野郎は。

あの野郎は。

いやはや、大した男だ。

あの野郎。

おらがからかってやった時には、ただの朝鮮人だと思ってたけどよぉ。

いやぁ、あの野郎の頭の切れっぷりは、ちゃんとした立派な日本人だ。

 

相も変わらず人格否定の人種差別的原論である。

ただ、伝兵衛がこう語るのは、わけがあった。

今年82を迎える爺の、単なる耄碌ではない。

毎週火曜日・水曜日・金曜日・日曜日、図書館のラウンジの円卓テーブルに、あの野郎の様子をうかがうために張り込んでいる一人の僕ちゃんがいる。

この僕ちゃん、1階の喫茶店を運営している、とあるNPO法人の利用者である。

この男、いつも、ほほえみを絶やさない。

165cm。

28歳。

前髪は、おでこの真ん中でぶつ切り。

おかっぱ。

色白。

目は、ぎょろんとまん丸い。

上は、いつも、白のポロシャツを愛用。

下は、紺色のジャージ。

ポロシャツに下はジャージ。

お漏らしでもしたのかい?スタイル。

靴は、黒のバッシュ。

7月下旬の真夏にもかかわらず、鬱陶しい。全くけしからん。

「でも、この厚着が僕ちゃんのスタイルなんだ。」

と、後日、警察に事情聴取された際に語ったという。

僕ちゃんはひどい脂性で、黒色の円卓テーブルを使った後は、いつも脂でまみれている。

そのくせ、サラダにかけるドレッシングは決まって、ノンオイル。

人生とは、実に、バランスが取れているものである。

さて、僕ちゃんが通う法人では、利用者は必ずなんらかの作業をしなければならない。

僕ちゃんも当然、作業に参加している。作業の合間には、おやつタイムもある。

ところが僕ちゃん、作業リーダーにいじめられている。

作業リーダーのいうことは絶対。

僕ちゃんは、利用する法人の作業リーダーから、あることを言われている。

それは、あの野郎の顔を見続けること、あの野郎と強引にでも目を合わせること、あの野郎と目があったら必ず笑うこと、絶えずあの野郎がいる自習室を監視すること、の4点だ。

この4点をすることを怠ると、作業リーダーからおやつを召し上げられてしまうので、必死にこなそうとする。

僕ちゃんは、勉強する。

そう、数学の二項定理を。

ただ、いかんせん、図書館の自習室ではなく、図書館利用者が休憩する、図書館入口外のラウンジの円卓テーブルで勉強しようとする。

自習室がどんなに空いているときであっても。

図書館入口前のラウンジのテーブルにいるもんだから、人がひっきりなしに行き来する。

僕ちゃんは、人がやってくるたびに、そいつの顔を見る。

ほほえみながら。

図書館利用者は皆、真夏にダサい厚着のおバカさんに図書館入口でほほえみをぶつけられることに、殺意を覚える。

僕ちゃんは、最近テクニックを覚えた。

それは、あの野郎がいる自習室を覗く為に、廊下のコインロッカーの上に置いてあるフリーペーパーを取るふりをすることだ。

僕ちゃんなりの、あの野郎への嫌がらせ方法だ。

でも、あの野郎は、そんなくそみたいなへなちょこテクニックなど百も承知で、すぐに自習室を出て、図書館職員に知らせる。

すると図書館職員は、マークしているほほえみ不審者がいることを確かめると、すぐに警察と法人に連絡する。

 

 

 

 

45th速報 りりぽん、正面突破。 22位おめでとう!!!

MCのエース。りりぽんが、ついに、22位でランクイン。

そして、100~80位、アップカミング、フューチャー、ネクスト、アンダーの各戦いを終えて勝ち上がってきた、NMBメンバーたちを、みてみる。

すると、新たな顔ぶれが多いが、皆、各公演実務での一騎当千の実力者達ばかりだ。

そこにはなんと。

喜びの涙で目を真っ赤にはらしながらも、冷静に兜の尾を締め直している、美少女がいるではないか。

ゆーりである。

名前が呼ばれた後も、終始、かわいらしく肩を震わせていた。

そして、劇場で、お互いの健闘を称えあっている、ゆーりりぽんの姿を見て、心底ほっとした。

そしてまた、アカリン、悲願のランクインを果たしたりかちゃん、うーか、ふうみるなぎっしゅー。

なんと、同じく悲願のランクインを果たした、さえぴーの名もあるではないか。

さらに、激戦の選抜では、あーぽんが14位に。

NMB劇場では、Nメンバー、ヲタたちからも、歓喜の声が上がる。

最後に、大将さや姉が、4位に。

あくまで、速報だ。

まだまだ、ランクインしなければならない、メンバーがたくさんいる。

とにかく、りりぽん、おめでとう。

できうる範囲で、援護いたします。

2016・6・18 AKB48 45thシングル選抜総選挙床屋談義 選抜予想

◆カランコロンカラン。いらっしゃいませ。

◇やっぱり自分で言っちゃうんだ。

◆あっ、すみません。

◇いや、いいんです。では、さっそく、選抜予想しましょうか?

◆そうですね。では、16位は?

◇りりぽんです。

◆15位は?

◇あかりんです。

◆14位は?

◇なーちゃんです。

◆13位は?

◇ちゅりです。

◆12位は?

◇みーおんです。

◆11位は?

◇きたりえです。

◆10位は?

◇にゃんにゃん仮面です。

◆9位は?

◇ゆいはんです。

◆8位は?

◇はるっぴです。

◆7位は?

ぱるるです。

◆6位は?

◇さくらたんです。

◆5位は?

ゆきりんです。

◆4位は?

さっしーです。

◆3位は?

◇さや姉です。

◆2位は?

◇じゅりなです。

◆1位は?

まゆゆです。

 

 

 

 

 

 

 

誣告の伝兵衛。≪小説・新連載vol.31≫

おら、なのか?

そうだ。

おらだ。

伝兵衛だ。

おら、刑務所から出所した際に、刑務官から、もう2度と誣告すんじゃねえぞと言われた。

そして、図書館の館長・副館長と、2度と自習室内に入らないことを約束した。

だから、おら、自習室には入れない。

でも、あの野郎のことは気になる。

そこで、3日前にもあの野郎が居やがるかどうかを確かめるために図書館に行ってやったら、あの野郎、未だ居やがるぞ。

いやぁ、大した霊だ。あらぁ。

止められているけれども。

やっぱり。そうだ。

誣告だ、誣告だ。

 

警察は、虚偽告訴罪で一度伝兵衛を逮捕している。

そして、送検までしている。

さらに、訴追され、伝兵衛は実刑を受けた。

にもかかわらず、「毎日あの野郎が自習室で勉強しているのはおかしいぞ」と、なんだかよくわからないことを言って通報してくる伝兵衛のことを、もはや愛しいとさえ思ってきた警察。

そして、あの野郎の事を、小生意気で馬鹿な無職野郎と、ムカつき、高をくくっていた警察。

ここに、伝兵衛と警察との利害関係が一致した。

そこで、警察は、この伝兵衛の虚偽告訴を利用しようと考えた。

つまり、伝兵衛の虚偽告訴を、形式的には善意の市民からの通報として処理をすることで、自分たちは、無辜の民であるあの野郎に対する図書館・市役所内での張り込みという、違法な任意捜査をすることができる口実にしようと考えたのだ。

あの野郎は、伝兵衛と警察の鬼畜の所業を決して許さない、でも、これも社会の厳しさなのだと、割り切っていた。

そして、今自分が抱えている悩みのすべては、司法試験に合格することによって解決されるのだ。

と、あの野郎は、純真無垢に信じていた。

スタンダール『赤と黒』の主人公ジュリアン・ソレルのように。

欅坂46「サイレントマジョリティー」は、田島芽瑠復活への架け橋となる。

HKTの停滞感。

それを打ち破ることのできるメンバーは、めるちゃんだ。

僕は解する。

欅坂46「サイレントマジョリティー」は、もがき苦しんでいるメンバー全てへの、秋元康からのアンサーソングだと。