第6回MC選抜ドラフト会議 12月1日
この1年半で、各グループに新たな逸材が多数現れてきた、MC陣。
そこで、メンバーの皆様方には失礼だが、独断と偏見による、第6回MC選抜ドラフト会議をさせてください。
誣告の伝兵衛。≪小説・新連載vol.36≫
僕ちゃんは、刺された。
背中をぶっすりと。
いつものように、あの野郎をからかうため、ラウンジのいつもの指定席であるテーブルに座った瞬間であった。
僕ちゃんは、すぐにほほえみながら、後ろを振り返った。
すると、見たこともない、老人であった。
そう、伝兵衛である。
誣告の伝兵衛。≪小説・新連載vol.35≫
得意の髪をアップにした、色白の、目の細い、私服勉強プレイの、警察の女。
ここ何年も、セックスをしていない。
誣告の伝兵衛。≪小説・新連載vol.34≫
最近図書館ラウンジ内で大ブレイク中の僕ちゃんの生態を特集したい。
僕ちゃんは、ホモだ。
完全なるホモだ。
ホモのホモ。
ホモ中のホモだ。
彼氏は、同じ法人に通う、ツバメの巣張りの超天然パーマの色黒の30歳の男。
その彼氏に、「図書館の利用者にとんでもない馬鹿かいるぞ、だから『俺のお前』(ベッドでの呼び名である)、あいつを監視して来いよ。な、な、な。」と言われ、批判能力が一切なく、そのまま「うん。」と受け入れた。
僕ちゃんは、忙しい。
15時に図書館ラウンジにやってきて、まずは、図書館入り口前の円卓テーブルにお気に入りのピンクのビニールのバッグを置く。
そして、自習室内で必死に勉強しているあいつを馬鹿にするため、あいつをにやにやにやにやほほえみながら覗き込む。
にやにやにやにや。
一言でいうと気色が悪い。
でも、そんなことはオカマいなし。
法人内の作業リーダーであり、かつ、彼氏でもあるツバメの巣に言われたんだから。
そして、覗き終わった後、一目散に螺旋階段を下りて、1階に行く。
1階では図書館利用者以外の人たちがたくさんいるから恥ずかしい。
そこで、必ず両手を顔の前に置く。
口はぽかんと開け、両手の10本の指を全て限界まで開きながら、顔を隠すために覆う。
でも、指を全開に開いているから、すれ違う人たちには顔が丸見えである。
そして、駐輪場にダッシュで向かい、さび付いた子汚い自転車に飛び乗り、早漕ぎで一目散に家に帰る。
家に帰ると、決まって、お母さんに、怒られる。
「あんた、また、図書館行って、他人様にほほえんできたのかい。あんた、刺されるよ。あんたが言ってた、その勉強してるっていう人に。馬鹿なことしてると。」
穏やかじゃないですよ、お母さん。
お母さんの言っていることを、ほほえみながら、でも、不思議そうな顔をしながら聞く僕ちゃん。
そして、晩酌中のお父さんに、決まって、ホモもとい芋焼酎のロックのグラスを僕ちゃんの頭からかけられる。
「お前は本当に。本当に、お前は。人様に迷惑ばっかりかけて。馬鹿みたいな顔しやがって。」
まぁまぁ、お父さん。
「お前は、少し落ち着け。いいか。お前になんてな、誰も興味ないから。いいから落ち着いて勉強しろ。」
正論のセイロン島ですよ、お父さん。
「すべてお前の勘違いだ。いいか。お前の言っている人は、勉強しているだけだから。お前は長時間勉強したことないだろ。いいか、長時間勉強していると疲れるんだ。だから、休憩することもあるんだ。わかるな。だから、お前にかまっているわけじゃないんだ。お前は、自習室に入ることを怖がっているから、だからラウンジで勉強しようとするんだけど。そもそも、ラウンジというのは、休憩する場所だからな。お前みたく、勉強するところではないんだ。わかったな。この馬鹿。被害妄想の房総半島だ。お前は。」
ヒートテック着ながらヒートアップしないで、お父さん。
ただ、僕ちゃんは、お父さんに心底嫌われたくなかった。
だって、お父さんに嫌われてしまったら、ご飯を食べられなくなることを本能で知っていたからだ。
僕ちゃんは、童貞だ。
完全なる童貞だ。
チェリーのチェリー。
チェリー中のチェリーだ。
一度、先輩である、馬鹿でっかい背丈のネズミみたいな顔をした悪い先輩に、無理やり誘われ、ヘルスに行ったことがある。
その時、相手のヘルス嬢に言われるままいろんなところをまさぐってみたが、やることなすこと全てについて、ヘルス嬢にため息をつかれたという。
僕ちゃんは、元気だ。
元気いっぱい。
あの野郎が自習室から出てくるのを絶えずうかがっている。
僕ちゃんの座っているテーブルからは、あの野郎が座っている席のちょうど足元が見える。
あの野郎が席を立つ瞬間を抜け目なく、見逃さない。
あの野郎が自習室を出た瞬間、螺旋階段横の広告が置いてある棚に勢いよく飛びつき、あの野郎の顔をにやにやにたつきながら見ながら、広告を探すふりをする。
そうすることが、あの野郎に対する侮辱行為だと思っている。
あの野郎をからかっているんだと、信じている。
僕ちゃんは、汗臭い。
完全なる汗臭だ。
汗臭の汗臭。
汗臭中の汗臭。
誣告の伝兵衛。≪小説・新連載vol.33≫
あの野郎は、4種類の図書館を使い分ける。
そのうちの、ある図書館の職員たちは、あの野郎の事が大嫌いだ。
あの野郎が、約1時間おきに休憩をするために、席を立ち、ラウンジやトイレに向かうからだ。
つまり、カウンターにいる職員にとって、否応でも、あの野郎がカウンター前を通ることになるからだ。
あの野郎は、そのことを、数年前からうすうす気づいてはいた。
あの野郎がトイレに入ると、10秒後にかならず女子トイレの方から女子トイレのドアが閉まる音がする。
あの野郎が大便をした後、手洗いをしていると、目の細い白粉の公家みたいなそしてイルカみたいな顔をした、普段悪口言ってますみたいな顔をした、女の職員(48歳)が女子トイレから出てくる。
それが毎回続くのだ。
あの野郎は、監視されていることに対して、この上ないほどの怒りがわいてきた。
そこで、そのイルカ女がトイレから出てくるのを男子トイレで待ち構えることにした。
すると、案の定出てきたところを、あの野郎は男子トイレを出る。
ドアをわざとバタンと閉めて。
すると、イルカ女はびくっとするも、すぐにやり返してやろうと、何も問題ない、壁に貼ってあるポスターの位置を直そうとする。
底意地の悪いメコの考えることだ。
もうひとりの職員もまた、底意地の悪いメコ。
55歳の臨時職員である。
顔は、泳げ!たい焼き君の店のおじさんに瓜二つ。
2年前自習室で勉強しているある利用者がペットボトルを置いていることに対してあの野郎からその利用者に注意するように言われたのだが、人に命令されることに異様に怒りを覚える、生粋のSっ子であるたい焼き君の店のおじさんは、それ以来あの野郎に対して殺意を抱いている。
この店のおじさんが得意とすることは、あの野郎がラウンジの椅子で外を見ながら休憩しているときに、なんと裏口から外へ出てあの野郎が見ている外の景色にフレームインしてくることだ。
何のためかというと、あの野郎が見ている外に、きっと何かがあるに違いないと、下種の勘繰りをしているためだ。
ブスの考えそうなことである。
あの野郎は、せっかく外の景色を観て休んでいるのに、店のおじさんが鬼の形相でフレームインしてくるのだから、腹が立ってしょうがない。
さて、じつはもうひとり、馬鹿がいる。
それは、イルカ女の旦那で、50歳の白髪交じりの短髪色黒のおっさんだ。
イルカ女に、あの野郎がラウンジの円卓テーブルで座りながら観ている外にはいったい何があるのかを、私の代わりに様子をうかがって、とおねだりされ、馬鹿丸出しでOKの返事をして実行したのだ。
計画内容はこうである。
まずイルカと旦那が、2人とも休日である日曜日に、図書館前にある児童会館に車を止める。
車の中には、イルカが待ち構える。
あの野郎が見ている外には、いったい何があるのかを確かめるために。
旦那には、あの野郎が1時間おきに休憩することは伝えてある。
チャンスは1階である。
あの野郎が休憩のためラウンジに来るのを何度も監視することに対して、旦那はさすがに抵抗したからだ。
旦那だって、イルカの奴隷ではない。
旦那は変装させられた。
ひざ上の濃い緑のショーパン。
黒のビーチサンダル。
ピンクとネイビーのスプライト柄のビニールバッグ。
黒のTシャツ。
なんだその恰好は。
さてはお前ホモかい?
黒のTシャツには、白色の英語のプリント。
なんて書いてあるの?
なになに。
I like my wife. my wife is complete Dutch wife.
何言ってやがるこの野郎。