誣告の伝兵衛。≪小説・新連載vol.8≫

昔から馬肉と鹿肉が大好物な、おらだ。ででんべ、伝兵衛だ。

あの野郎、まだ来やがる。

しつこい野郎だ。

もういっちょ、市役所職員に通報だ。誣告だ。

 

伝兵衛の度重なる誣告に、なんか面白くなってきた市役所職員。

自習室前の廊下で、伝兵衛とあの野郎を馬鹿にしながら職員同士で馬鹿笑いしあっている。

図書館の司書から、伝兵衛とあの野郎のことをいろいろと聞かされている市役所職員。

図書館の司書には利用者の情報に対する守秘義務があるが、その図書館司書はその義務に真っ向から違反している。情けねぇな。

そして、伝兵衛による誣告に対し真に受けたふりをして、市役所職員が張込みを開始する。

オダギリジョーをより馬鹿っぽくした、20代後半の馬鹿な黒ゴムブーツの、やせ形、短髪の市役所職員だ。

なんでも、自習室のなかで、あの野郎を監視するために、あの野郎の真後ろでドア前の席に座りやがり、馬鹿みたいな顔をして、馬鹿みたくニヤケながら、ずっと馬鹿な黒色のスマホを見てやがるんだとよ。

馬鹿な野郎だな。

 

さて、おら何べん「馬鹿」って言ったか、答えてみやがれ。