誣告の伝兵衛。≪小説・新連載vol.9≫

でんでんでででん。

でんでででん。

でんべえ、伝兵衛だ。

おら、図書館で勉強していると、ストレスたまるな。

今までの人生で、初めてのことをやっているからな。

だから、ストレスを解消するために、図書館のラウンジのテーブル、トイレなどを、汚してやるんだ。

トイレの洗面台の水も出しっぱなしにしてやるんだ。

昼飯時に使う、ラウンジのテーブルは、絶好の対象だよな。

おら、最近節約のため、家にある、おかきを、農協からかっぱらってきたビニール袋に入れて、昼飯用に持ってくるんだ。

それを、テーブルに置くんだ。

一人で食うんだよ。

ぼりぼり。ぼりぼりとな。

喰い終わったら、テーブルに、おかきの粉をばら撒くんだ。

家から持ってきたコーヒーも少しこぼしてやるんだ。

そして、たまによ、総菜パンを買って持ってくる時があってよ。

そいつを昼飯替わり喰らうんだよ。

喰い終わったらよ、その包装ビニール袋の内側にこびりついている油汚れあるだろ。

その油汚れを、ラウンジのテーブルにこすりつけてやるんだ。

そしたらよ、テーブルが油で汚れやがるんだよ。

これが、心地いいんだ。

ざまあねぇな。

 

愚かな伝兵衛。

この伝兵衛の鬼畜の所業に、図書館の職員は当然気づいており、テーブルには「テーブルを汚さないでください。」との張り紙がテープで張られている。

 

なんだ。この紙は。

この野郎、おらの汚しに気づいてやがるのか。

このテープを全部剥がすのはばれるな。

よし、このテープの四隅だけを剥がしてやっか。

ざまあ見やがれ。

 

愚かな伝兵衛。

公共の施設は、大切に使わないとだめですよ。