誣告の伝兵衛。≪小説・新連載vol.28≫

伝兵衛が逮捕され、はや2ヶ月が経った。

伝兵衛が来なくなっても、図書館の自習室には、次から次へとおバカさん達がやってくる。

現在のヘビーユーザー達を紹介しよう。

まずは、あの野郎。典型的なおバカさん。猪突猛進タイプ。恥ずかしくもなく、図書館に読みたい本をリクエスト。テントウムシみたいな顔をした、ある女性職員は、対抗措置として、自習室にいるあの野郎に向かって、大きな声であの野郎の名字を呼ぶ。そうすることで、他の自習室利用者に、あの野郎の名字を知らせ、あの野郎が自習室に居づらくさせようとする。また、受付にいる、あられちゃんみたいなバカでっかい黒縁眼鏡の女の職員は、あの野郎には絶対挨拶してやんないと思っており、死ねばいいのにと思っているとのこと。

あっ、そうそう。父つぁんぼーやみたいな顔をしたベリーショートの女司書と、めんどくさい実務はいつも人任せのすっとぼけた顔をしたちょび髭の館長との会話がなされていたので、ついでに紹介しておこう。ちょび髭がベリーショートに対し「あいつ一日中何やってるの?」と尋ねたところ、ベリーショートはこう答えたという。「ずーっと勉強している」。館長に対してためぐちで答えるのもすごいが、館長が利用者の事を「あいつ」呼ばわりするのもすごい。普段、事務所内で利用者の事を相当馬鹿にしているのだろう。このベリーショートとちょび髭は、かなりの軽口で、人を小馬鹿にするところがある。事務所内の会話は利用者には聞こえていないと思っているらしく、大きな声で時には耳をふさぎたくなるような、利用者への暴言を連発。筒抜けなのに、全くけしからん。

そして、毎日やってくる、司法書士受験生。

そしてそして、毎日やってきては、私は絶対風邪なんて引いていないと根拠のない自信でマスクを絶対につけないが、でも1分おきに結核患者のような咳をする、ワタリの大きなブルーのジーパンの、ポニーテールの女。約5時間、スマホでひたすら音楽を聴いては、検索、聴いては、検索の繰り返し。でも、私は音楽を聴きながらでも勉強できるもんとまたもや根拠のない自信。しかし、さすがに音楽を聴きながら勉強することにためらいがあるのか、席は一番左の席に座り左耳にイヤホンをセットすることで他の利用者にはイヤホンをセットしていることがばれないようにするなど、小賢しい真似をする。さらに、15分おきに、背伸びをする姿は、もはやあっぱれ。11時45分から12時20分の間に、必ず、母親におねだりして作ってもらったお弁当を30分かけて食べるスローライフっぷり。昼飯を喰らった後は、おなかがいっぱいになって満足したのか、30分間机の上で突っ伏してお昼寝。これがゆとりかと思わせる、音楽聴きながらのながら勉強の使い手。久しぶりに現れたと思ったら、ショートカットに変身。でも、やっぱり、あの野郎が気になるのか、5分おきに背伸びをしながらあの野郎を横目で確認。人生同様、背伸びしっぱなし。8756、シルバー、軽。

ほいこらそして、最近はなにがそうさせたか?、毎日開館時間ちょうどにやってくる、毎回工務店作業服を着、ホームセンターで買った黒のゴム長靴を履き、スケベそうな顔をした、還暦間近の、天然パーマの親父。通称、スケベ作業着。仕事が全くない日にも、作業服。人生で私服を着たことが全くない、情けない男。いつも仕事で着ている作業服なら、私服に悩むことは無いもんと、58歳の開き直り。おっかちゃんには、「あんた、作業着で図書館に行かないでよ!」と、毎朝叱られるが、なんせ、自分で服を買ったことが無いのだから、おっかちゃんにの言っていることの意味が全く理解できない。そのため毎朝、「なんだぁい。」と、玄関で愛用のゴム長靴を履きながら、蚊の鳴くような声を絞り出して家を出る。作業着を着ている割には、自習室内では、勉強という名の「作業」をする気配が微塵もない。やることと言えば、地方新聞の超高速斜め読みと、鉛筆を舐め舐めクロスワードパズル解き。めまいがするのか、5分おきに、首を360度回しながらのリラックス体操。気楽な作業ときたもんだ。さて、このスケベ作業着がいつも座る席は、図書館の自習室の入り口入って右側壁に向かって席が配置されている、その一番奥にある窓際の席。その指定席に座るやいなや、必ずくるっと体を左向きに座る。他の利用者は、なんでこの田舎者は、前を向かず、体を左向きして座っているのだろうと、皆首をかしげる。席の左側は、市役所の駐車場を見渡せる、一面ガラス張りの窓。そのため、このスケベ親父は、おらが町を独り占めの気分を大いに味合う。ただ、このスケベ親父、席に座り、体を左に向けるや否や、靴を脱ぎ、両足を、窓下の出っ張りに、然も当然ってな具合に置く。そして、赤と白の絶妙なコントラストの靴下をこれ見よがしに他の利用者に見せつける。ところが、足が臭い臭い。そもそも、図書館内で、靴を脱いで靴下一丁になることは、とても恥ずかしい行為なのだよ。最近では、自習室内で勉強をしないことがさすがに恥ずかしくなってきたのか、自習室に入らず、1回の喫茶店で同様の行為をする。しかし、喫茶店で何も注文せずに、どうどうと上記と同様の行為をする。58にもなって、全くけしからん。

それからどうした、おっちょこちょいの暇な警察たち。一人は、黒縁メガネの自称おしゃれボーイの刑事。自習室内のあの野郎を監視するため、自習室内のあの野郎の席を見渡せる席に座り、警察内の昇進試験のお勉強。司法試験の刑事訴訟法の択一を1万倍簡単にした問題に悪戦苦闘。最近は、あの野郎を惑わせるため、黒縁メガネをかなぐり捨てる。ワイン色のダウンジャケット。もう一人は、いかにも田舎臭い白色のセーターの、スマホを愛用する、いがぐり頭で、モグラみたいな顔をした、ブ男。あの野郎が帰るため荷物をもって自習室を出るのを見図り、仲間の刑事にスマホで知らせようとたくらむ。しかし、あの野郎をすでにお見通しで、廊下に出た後、このモグラの行動を監視してみる。すると、やはりスマホを手に何やらメールを打っている。このモグラ、あの野郎が廊下から俺のことを気付いてみているのではないかと不安になり何度も廊下の方を振り返る。器の小さな男だ。あの野郎は、さっそく、このモグラの車のナンバーを記憶した。

ほいきたそして、誰からも後ろ指をさされないと思い込んでいる図書館の自習室に開館間もなくやってきて、奥さんには内緒で、ノートパソコンとスマホで株取引に5時間もの間熱中し、昼飯時には自分の席にノートパソコン・スマホ・株取引の配当取引を詳細にメモした手帳・ビジネスバッグを約1時間半もの間置きっぱなしにする、60代の紺色スーツ、メタボ体形、詐欺師。あの野郎は、この株狂いの詐欺師の正体を見抜いており、警察に通報したとのこと。

そのまたそして、年中風邪ひきの、ボブの女。

はいはいそれから、学習室内でぶつぶつ独り言を言いながら雀の学校の宿題をちいちいぱっぱ勉強しようと席に着くが、10分と集中できず席を立ち、廊下・市役所内を闊歩し、喫煙スペースがないにもかかわらず図書館入口でタバコを吸い、時にはトイレでもタバコを吸う、トラブルメーカーの50代の男。あの野郎は全てお見通しで、すぐさま警察に通報したという。

ほいほいそして、バックプリントに誰も見たことも聞いたこともないメーカーの名前が入っている黒のジャンパーを愛用し、伝兵衛そっくりの顔で、細い目の、馬鹿でっかい背丈の70代の、短髪白髪の、ホームセンターで売っている田舎臭い長靴をいつも履いている、爺。

ほらほらどっこい、決まって18:19に現れる、まるでインチキ宝石商のような、白髪頭でネズミ顔の60代の黒スーツ。

それからそれから、あの野郎の家に何度も郵便物を届けたことのある、郵便局の配達員で50代の男。薄青色の工務店員のようなつなぎを着て同じく薄青色の工務店員のような帽子をかぶって変装して、17:45にやってくる。こいつは、あの野郎が図書館を出るまでは絶対に図書館から出ないと決めている、かなりの強者。

そのまたどうした、決まって11:50に現れる、自習室に居るにもかかわらず小説読書三昧の、色黒の50代のワンレングスの女。

それに、決まって17:00に白の2467の車で現れ、メモ帳と2時間もにらめっこをし、あの野郎にストーカー行為を仕掛ける、花柄の黒のシャツ・黒のスカート・黒のサンダルの、60代の女。

ほらほら、50代の色黒、やせ形、メガネ。おい、思い出したぞ。犯人はこいつだ。あの野郎に逆恨みをし、3年前の10月4日にあの野郎の自転車の左右のペダルを壊し、先日はサドルにかけてあるビニールの袋を破った、器物損壊罪の犯罪者。黒のパジェロを愛用。あの野郎は、こいつを絶対に許さないと思っている。

もひとつどっこい、仲良く男5人で固まって勉強し、昼飯も仲良く5人でコンビニまで買い出しに行く、東高校の、汗臭いジャージホモ野郎男子高校生達。特にこの中の3人の男の子たちは仲がよろしい。3人が、仲良く並んで座り、センター試験の過去問をし答えを合わせをしながら一喜一憂する姿は、ほほえましいぞな。うむ。ただ、一番右側の座っている子は、特に汗臭いですぞな。この汗臭ボーイは、必ずあの野郎の座っている席から1席空けて座り、背もたれにわざと持たれながら、あの野郎を監視。情けないほどのおバカさん。

もういっちょ~いくぞ~、午前10時から閉館時間の19時までの9時間、男同士仲良く隣の席同士で座り、センター試験対策をする、東高校の、エコノミークラス症候群ホモプレイの男子高校生カップル。その一人、グレーの股引を愛用する、小鳥みたい顔をして、後ろから前へ髪を逆オールバックのように流しているので後頭部がアナルのような状態になっている、柳生博のような髪型の黒髪の男の子は、12月29日30日と二日連続であの野郎を怖がらせるため、他の多数の自習室利用者がいるにもかかわらず、お勉強中何度も足で壁を強めに蹴る。すると、シンクにお湯を捨てた時に出るような「ドン」という音が自習室内に響き渡る。誰もときめくことは無い、壁ドンである。愛用してる『マドンナ古文』が泣いていますぞ。あの野郎は、さっそく、この子のことを、「柳生マドンナ壁ドン君」といろいろ詰め込みつつ呼ぶことにした。

そしてよ、今年1浪が決まった、馬鹿みたいなチリチリフワフワのパーマ頭で、上下スェットの、西表ヤマネコみたいな顔をした、地黒の、自称おしゃれボーイ。通称、西表パーマ。浪人がスタートした4月頭なのに、あんちょこみたいな受験参考書を広げてお勉強。同じく、仲良く今年1浪が決まった、西表パーマのお友達で、白色パーカーを愛用する、おかっぱ頭の、同じく自称おしゃれボーイ。このおかっぱが遅れて登場するも、仲良く隣同士の席に座り、仲良く1浪目初のお勉強会。西表パーマは、あの野郎をからかうため、あの野郎が自習室に入るたびに、あの野郎の顔を見るため、入り口を振り返る、そして、18分おきに席を立つ、集中力が全くない、おバカさん。

そしてさ、ロングで、真ん中から半分が金髪、頭頂がザビエル禿の、目が細くて小さな女子高生。朝10時に入り閉館19:00まで、トイレにも一切席を立つことなく、大好きなリアルゴールドの185ミリ缶をちびちびやりながら、英語の教科書を和訳しているので、他の利用者から「リアルゴールド」というあだ名を頂戴される。小便を無尽蔵にため込むことが可能系女子。膀胱が、大食いチャンピオンみたい。向かいの席に、あの野郎が座ると、あの野郎を脅すため、立ち上がりあの野郎を睨みつけて見下ろすパフォーマンス。「あのアマ、完全にチンピラですよ。」とは、あの野郎の後日談。

ほらほらどっこい、うわさのあの野郎を見物するため、男二人で仲良くわざわざ定期試験帰りに自習室にやってきて、大きな声でバカ騒ぎをする、時には自習室の隣の資料室で3時間もの間「へへへっ」とオカマを掘られてよがっているかのような声を出しながら乳繰り合っている、西高校のホモ男子高校生カップル。平日昼間から男同士で、酒も飲まずに、笑い合っていることがいかに気持ちの悪い事なのか、ということを全く理解していない、ナイーブな男の子たち。

ほいきたほいきた、定期試験対策のため、今まで黒板をスマホで写真撮影をして撮りだめをしていた写真を5分おきにくるくるくるくると5時間もの間探しまくる、バーガンディ色のパーカーの、東南アジア系の色黒女子高生。

ほんで、おにぎりみたいな髪型で、目が細く、真っ赤に日焼けをした、赤鬼みたいな顔の、スタイルが悪い、制服女子高生。

そして最後に、暗雲中学や閉成中学に通う、汗臭いジャージ女子男子中学生達だ。この中の一人の、暗雲中学に通うおかっぱは、とにかく汗臭い。思春期特有っていうやつなのかい?あの野郎の左横にピタリと張り付き、あの野郎が本当に勉強しているのかを確かめるため、4時間もの間、椅子の上に女座りで座り、靴を脱ぎ、足の裏をあの野郎に向けるようにして、10分間足の裏を掻き続ける。すると、ぽわ~んと、まるでインチキおじさんのように、靴下から強烈な汗の匂いが登場。その臭さ、いつだって忘れないし、エジソンは偉い人、そんなの常識、パッパパラリラだ。あの野郎は、すぐ席を立ち、この女が通う中学校に通報したという。また、勉強している教材は、薄っぺらい日本史の参考書。そもそも、そんなあんちょこで纏め切れないほど、日本の歴史は分厚いんだぞ。このおかっぱは最近、下は学校指定ジャージで上は赤と黒のチャックのネルシャツというお漏らしでもしたのかいと思わせるスタイルの、豚のように鼻の穴が常に丸見えの色黒メガネと一緒に5時間もの間ペチャクチャペチャクチャおしゃべりという名の、レズプレイにもう夢中なんです。昼飯時には、自習室内で、ムシャムシャムシャムシャと、10分で3種類のコンビニサラダをペロリペロリと平らげる。お腹いっぱいになるには、高くつくんじゃないのかい。そして、このおかっぱにとってのネコである豚っ鼻は(ややこしくてごめんなさい)、コーヒー牛乳が大好物で、ズルズルズルズルと、資料室内で、すすっている姿は、豚そのもの。最近は、この二人、自習室横の資料室で仲良く、お勉強という名のレズプレイにまっしぐら。トイレ休憩の際には、あの野郎を見てクスクス笑うために、自習室の扉を開けて、そして例のようにクスクスクスクス。廊下の声や物音は、大変響くため、自習室内にも、よく聞こえる。そのため、あの野郎は、廊下からあの下品なクスクスクスクスという、まるでレズ同志が燃え上がった時に出る喘ぎ声かのような笑い声が聞こえると、またあの中坊レズカップルかと、情けない気持ちになる。さっそく、あの野郎は、暗雲中学に通報したとのこと。さらにこのおかっぱ、自習室内で、連れの豚っ鼻と、5分おきにクスクスクスクスと忙しい。ところが、あの野郎の事を小馬鹿にしていることを、あの野郎にばれたと思い、恐ろしくなったのか、閉館間際に自分の両親を呼び、廊下に待機させ、あの野郎の顔を認識させ、あの野郎を尾行させようとするという、下種の勘繰り、下種の極みの限りを尽くす。さっそくあの野郎は、対抗措置として、この両親の車のナンバーを記憶した。次、このおかっぱがさらなる暴挙に出たときは、あの野郎は正当防衛行為をすることを誓った。そして、閉成中学に通う、ミッキーパーカーを愛用するボブの女と、学校指定の紺色のジャージに三角おにぎりのような髪型の女は、隣同士で座り、ポッキーやらポテトチップスやらを机の上に堂々と置いて、お勉強。ボリボリボリボリ。ムシャムシャムシャムシャ。性感ヘルス嬢のように、手を動かさず、口をよく動かす。全くもってけしからん。あの野郎はさっそく、こやつらが通う閉成中学に通報した。そして、暗雲中学に通う、男子たち。一人は、どす黒い顔をした、馬鹿でっかい体格で、ヒョウ柄のVANSのスニーカーで、いつも両方の手のひらを隠し上のジャージの袖口を左右出しながら、そして馬鹿でっかい図体を左右揺らしながら、オバケのQ太郎のようにふわふわふわふわと歩く。もう一人は、ひょろ長いやせ形で、自習室内で、チョコパイをムシャムシャムシャムシャとぱくつく。この二人は、ホモの関係にあり、12時にやってきて、16時までの約4時間もの間、隣同士の席に座り終始体をお互いに寄せ合って、ペチャクチャペチャクチャ、公立高校受験対策という名の、シックスナイン。二人とも、全く同じ眼鏡をかけている。あの野郎の事が気になるのか、5分おきに、あの野郎の方を振り返る姿は、馬鹿そのもの。さっそく、あの野郎は、こ奴らが通う暗雲中学に通報した。そのまた一人は、暗雲中学に通う、馬鹿みたく目が離れ、馬鹿みたく虎刈りの、色白のちびの男の子。公立高校入試2週間前にもかかわらず、上記おかっぱに絆され、あの野郎を尾行するようにおねだりされ、尾行のためわざわざ市内の別の中学(狭陵中学)のジャージに着替えあの野郎を尾行しようとした、本当の意味でのくそ野郎。