読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

誣告の伝兵衛。≪小説・新連載vol.16≫

あの野郎、前までは足を組んで勉強してやがったのに。

今では、普通にしてやがる。

どういうこった。

足を組んで勉強してやがることを、誣告してやったのに。

あの野郎が足を組まずに勉強していることがばれたら、おらがオオカミ少年みてぇじゃねーか。

誣告は、オオカミ少年と思われたらお終ぇーだ。

あっ、そうか。

おらは、オオカミ少年だったんだ。

てへぺろ

まぁ、おらのkawaii一面が出たところで。

それにしても、あの野郎、まだ来やがるな。

よし、誣告だ。

 

あの野郎を監視するために、1年前からちょくちょくやって来ている、男が自習室に来る。

2日前から、また、あの野郎の席から1席空けて座っている。

思えばこの男、年がら年中、風邪をひいている。

前は、まだ寒い5月なのに、買ったばかりの短パンを嬉しそうに履いて、くしゃみばかりしていた。

今回も、席の上に勉強道具を一切出さずに、鼻をかんだ後のくしゃくしゃに丸めたティッシュをこれでもかっていうぐらいに机の上に散らかしている。

それに、今回は、15秒おきに背伸びをしながら、右横にいるあの野郎を監視している。

ただ、あの野郎に刑事ではないかと詰め寄られることを恐れてているのか。

この男が背伸びをするたびに、あの野郎が気づいたふりをすると、今度は前のめりになる。

ほれる女と自分の体は、背伸びしっぱなしの人生なのだろう。

あの野郎は、「風邪ひき背伸び」とあだ名をつけた。

風邪ひき背伸びは、自習室にいるためのエンジンとして、必ず何かを新調してくる。

前回は、短パンであった。

今回は、adidas SUPER STAR 80s VINTAGE DX Originalsだ。