誣告の伝兵衛。≪小説・新連載vol.17≫

おかしいな。

おらがこんなに誣告しているのに、警察は何をやっているんだ。

よし、今日も誣告だ。

 

まずは一人目。

例の、風邪ひき背伸び君。

今日は、15秒おきではなく、2秒ラップを上げ13秒おきに背伸びを繰り返しながら、右横のあの野郎を監視する。

背伸びだけで、他に何も得ることができずに自分の人生が終わってしまう。

そんな男。

 

二人目。

閉館後、あの野郎が一服していると、目の前の駐車場にパトカーが2台止まっていることに気づく。

先日、あの野郎に尾行がばれて悔しかったのだろう。

今度は、お返しと、あの野郎にわかるように、あの野郎をビビらすように、挑発をしてきた。

無辜の一般市民に、自分たちの馬鹿さ加減をこれでもかと見せつける。

田舎の警察は、暇を持て余していることが、証明された。

すると、白のつば付ニット帽にグレーのロングコートの約155cmの女が喫煙スペースにやってくる。

ところが、その日は風がえらく強い日。

かちっ、かちっ、かちっ、かちっ。

100円ライターで何度も火をつけようとしたが、全くつかない。

「今日、風邪強いっすね。」

何もかもお見通しのあの野郎が、軽いジャブ。

すると、その女は、話しかけられたらすぐに喫煙スペースから離れるようにと、上司から言われていたので、すぐに離れる。

 

三人目。

お前が一番チンピラみたいな顔をしているからお前が尾行しろと、上司に言われた、色白短髪で約158cmの男。

 

 次から次へと現れるも、バッタバッタと切り殺される。田舎警察侍たち。

今日も、あの野郎の一人無双であった。